久米仙酒造を紡ぐ10人の蔵人-仕上げに宿る匠の技を持つ蔵人

いつも久米仙酒造をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。「伝統を大切にしながら泡盛の新しい可能性を求めて一歩進んだ酒づくり」をモットーに、業界の常識に捉われず「沖縄から世界へ」新しい挑戦を繰り拡げる久米仙酒造。そんな久米仙酒造を紡ぐ10人の蔵人にスポットをあて紹介していきます。第4回目の今回は、仕上げ作業を担当する仲本三和さんをご紹介。

家庭菜園が趣味の仲本さんは、久米仙酒造の駐車場の片隅にある畑で、日々野菜を育てています。出勤前や休憩時間、退勤後など、時間を見つけては野菜たちの様子を確認し、水やりを欠かしません。収穫したオクラやピーマンはスタッフと一緒においしくいただきます。いつもニコニコと優しい笑顔で接する仲本さんの愛情をたっぷり受けて育った野菜たちだからこそ、元気に育っているのですね。前回紹介した上地さんによると、仲本さんは「明るく元気な人で、チームの雰囲気をパッと明るくしてくれる存在。」だそうです。そんな仲本さんに、久米仙酒造での仕事についてお話を伺いました。

厳しい品質管理で培われた確かな目と自信

―入社当初のことを教えてください。

「入社当初は、70代のベテランスタッフから作業全般を教えてもらいました。初めの頃は、キズのある瓶や不具合のある商品を弾く作業を覚えるのは難しくて、良品と不良品の見極めができなかったんです。ぜんぶ不良品判定をして怒られたこともありました(笑)でも経験を重ねるごとにだんだん自信がついてきて、今では一目で判断できるくらいなんですよ。」

―製品の信頼性を支える重要な工程なので厳しいですよね。作業の中で特に気をつけていることはありますか?

「毎日充填、ラベル貼り、梱包などいろんな作業があります。特に気を使うのは仕上げ作業かな。仕上げ作業では“丁寧さ”を大切にしています。どんなに忙しくても、製品をキズつけないように、ラベルが剥がれないようにと細心の注意を払っています。新商品の作業のときは初めて扱う製品なので失敗もありますが、経験を積んでいくうちに慣れていきますし、上手な人から教えてもらって技術を高めています。」

「奴樽蔵」の美しさ

―新商品が多い中、前向きに取り組んでいるんですね。いろんな商品を手掛けてきた仲本さんにとって、特に思い出深いお酒はありますか?

「“奴樽蔵(やったるぞう)”ですね。瓶の形や琥珀色に輝くお酒の色合いが美しくて、きれいだなあと思いながら仕上げ作業を行っていたのが心に残っています。」

―終売してしばらく経ちますが、いまだに問い合わせがあるほどなので、奴樽蔵は人気商品だったのですね。「そうですね。たくさん注文が入れば、それだけたくさん出荷されていくので、製造・販売していたころは奴樽蔵の仕上げ作業が多かったですね。常に奴樽蔵を手に持っていたんじゃないでしょうか(笑)」

チームワークから生まれる達成感

―仲本さんは入社して8年目とお聞きしました。今の仕事におけるやりがいは、どんなところなのでしょうか?

「やっぱり、達成感ですかね。大量にあった製品をすべて仕上げたときの達成感って、そうとうなものなんですよね。印象に残っている出来事があって、“絶対に間に合わないだろう”と思うほど大量の商品の仕上げ作業に、製造部のメンバー全員で取り組んだことがありました。普段はお酒をつくったり充填をしている部門の人たちも総出で、全員で土日も出勤して完了させて、間に合わせることができたんです。終わるかなってヒヤヒヤしましたが、終わったときのあの達成感は今でも忘れられないなあ。」

細やかな仕上げの魅力を感じて欲しい

―最後に、読者のみなさまに伝えたいことはありますか?

「手作業の魅力もあるって知ってほしいです。確かに機械の方が効率的ですが、手作業だと糊跡がなく、美しく仕上がる気がします。製品を手に取ったとき、そういった手作業の細やかさを感じてもらえたら嬉しいですね。」

仕事への前向きな姿勢や、ものづくりに対するこだわりが、完成した製品ひとつひとつに表れています。「どの作業も好きで、嫌いな作業はありません」と笑顔で語った仲本さんにとってすべての工程が大切な作業です。今日も達成感を感じながら久米仙酒造の製品作りに携わっています。

次回は想いを包む蔵人を紹介

次回は、想いを包む蔵人 上原若菜さんを取り上げます。

仲本さんに上原さんの印象を聞くと「出荷担当は若菜さん一人。毎日一人で大量の出荷をこなしているのは本当にすごいです。」とのこと。

上原さんの梱包作業へのこだわりは12月3日公開です。どうぞお楽しみに。